歯肉炎まで歯周病が進んでいる場合、歯面から細菌を除去することにより健康で正常な状態には戻りますが、残念ながら一度歯周炎にかかってしまうと細菌を除去しても、失われた支持組織(歯槽骨やその周りの歯肉)は元通りに戻ることはありませんので、歯肉は退縮して歯根が露出してしまいます。(歯が長くなる様な状態)これまで歯科医療では、元に回復することは出来ませんでした。しかし今では、「エムドゲイン療法」を用いることによって、特定のケースでは、失われた歯の支持組織を回復することが可能となっています。
「エムドゲイン」とは、スウェ-デンで開発された“歯周組織再生誘導材料”です。エムドゲインの主成分は、子どもの頃、歯が生えてくるときに重要な働きをするタンパク質の一種です。
歯周外科手術の際、手術部位にエムドゲインを塗布することで、歯の発生過程に似た環境を再現することができ、初めて歯が生えたときと同じような強固な付着機能をもつ歯周組織の再生を促します。
壁性骨欠損、深い歯周ポケット、セメント質と歯根膜、歯槽骨の欠損
歯肉切開
歯肉軟組織の剥離
歯根面の徹底清掃(肉芽組織の除去、スケーリング、ルートプレーニングなど)
エッチング処理(リン酸、クエン酸など)
清掃した歯根面への「エムドゲイン」ゲル溶液の塗布
歯肉縫合
新付着(歯根膜と新生骨)の獲得。
クリニカルアタッチメントと新生骨の獲得。
GTR法は、歯周組織が破壊されて空洞になってしまった部分の歯肉上皮の下に、人工の膜を挿入する治療法です。人工の膜を入れることで、歯肉上皮の増殖が抑えられ、代わりにセメント質や歯槽骨が再生されるというものです。 ※歯周組織が再生されてから(4~6週間後)もう一度切開して人工膜を取り除く必要があります。
炎症が進み、歯槽骨と歯根膜が破壊。
歯槽骨の欠落部分に歯肉が入り込んでいる。
プラークを取り除いた後、膜を挿入する。
膜下の組織は空洞を埋めるように成長していく。
歯周組織再生後(4~6週間後)、2回目の手術を行って膜を取り除く。